オンフィールドレビュー(OFR)とは?ルール・導入背景・判定事例まで

soccer (174) サッカーの制度

「オンフィールドレビュー(OFR)」という言葉を、サッカー中継やハイライトで耳にしたことはありませんか?VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の普及とともに、OFRもまた現代サッカーにおける重要な審判ツールのひとつとして注目されています。

この記事では、OFRの定義や役割、実際の判定事例、さらには選手・監督・ファンのリアクションまで多角的に解説。さらに、VARとの違いや今後の課題・改善点にも触れながら、OFRの全体像をわかりやすく紐解いていきます。

「OFRって結局どんな時に使われるの?」「審判がモニターを見てるけど、何を確認してるの?」そんな素朴な疑問にも答えられるよう、実際の試合映像に基づいた具体例とともに、深掘りしていきましょう。

オンフィールドレビュー(OFR)とは何か?

オンフィールドレビュー(OFR)とは、主にサッカーにおけるビデオ判定の一種で、主審がピッチサイドに設置されたモニターを自ら確認し、最終的な判定を行うプロセスのことを指します。これは近年導入されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)と連携して使用されることが多く、誤審の防止やフェアプレーの促進に寄与しています。ここではその基礎知識から深く掘り下げていきます。

OFRの正式名称と定義

オンフィールドレビュー(On-Field Review)とは、国際サッカー評議会(IFAB)やFIFAの定義によれば、VARの提案を受けた主審が、フィールド脇の専用モニターでリプレイ映像を確認する行為です。この際、主審は最終決定権を持ち、VARはあくまで補佐役となります。

VAR(ビデオアシスタントレフェリー)との違い

VARは審判団とは別の位置(通常は専用ブース)にいるビデオ担当審判で、試合中に起こった判定が疑わしいプレーについて主審に助言を行います。一方で、OFRはその助言を受けた主審が、自身の目でプレー映像を再確認し、最終的な判定を下すという手続きです。このように、OFRはVARの判断を主観で確認するフェーズと言えます。

OFRが導入された背景と経緯

OFRが本格導入されたのは、2018年のFIFAワールドカップ・ロシア大会です。かつては誤審が試合結果を大きく左右する例が後を絶たず、特にゴールの有無やPK判定、レッドカードの適用など、重大なプレーに関する判断の精度向上が求められていました。OFRはその解決策の一環として採用され、現在ではJリーグや欧州主要リーグでも標準装備となっています。

OFRが使用される具体的なシーン

  • ペナルティエリア内でのハンドやファウル判定
  • 得点が絡むプレー(オフサイドやファウルの有無)
  • レッドカード対象の危険なタックル
  • 誤った選手へのカード提示(人違い)

これらの局面では、VARから「OFRの必要あり」と主審に連絡が入り、主審はモニターへ駆け寄り、慎重に映像を確認した上で判定を変更または維持します。

サッカーの判定におけるOFRの重要性

OFRの導入により、主審の判定に対する納得感が増し、観客や選手からの信頼も向上しています。人間の目だけでは見逃してしまうような接触プレーや微妙な位置関係も、リプレイ映像により冷静に分析可能です。ただし、判定のテンポが遅くなる、試合時間が延びるといった課題も併存しています。

OFRのルールと判定フローを理解する

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OFRがどのようなルールのもとで行われ、どんなフローで主審が判断を下しているのかを理解することで、サッカーの試合をより深く楽しめるようになります。ここでは具体的な発動条件や手順を丁寧に見ていきましょう。

OFRが発動される4つの主要ケース

ケース 対象プレー
得点・ノーゴール オフサイド、ファウルなどによる取消判断
PK判定 PKの有無やシミュレーションの判断
レッドカード 危険なタックルや暴力行為の有無
人違い カードを提示する選手の誤認識

審判がOFRに進むまでの手順

  1. VARが映像を確認し、明らかな誤審の可能性を検知
  2. 主審に「レビューの必要あり」と無線で伝達
  3. 主審がピッチサイドのモニターへ向かうジェスチャーを行う
  4. リプレイ映像を視認し、自らの判断で最終判定を下す

重要なのは、最終的な判定を行うのはあくまで主審である点です。VARはその判断を補助する存在に過ぎません。

OFR後の主審の裁量と判断基準

OFR後、主審は当初の判定を維持することもあれば、変更を決断する場合もあります。この判断基準は「明確かつ重大な誤審」があったかどうか、つまり「もしも当初映像を見ていれば別の判定をしたであろうか?」という観点で判断されます。

OFRが使われた実際の判定事例

OFRの重要性をより実感するには、実際にOFRが使用された試合の具体例を知ることが最も有効です。ここでは国際大会・国内リーグにおける象徴的な3つの事例を紹介します。

ワールドカップでのOFR活用例

2018年のロシアW杯、フランス対オーストラリア戦でのPK判定が象徴的です。アントワーヌ・グリーズマンが倒されたプレーに対し、主審はOFRを実施し、最終的にPKを宣告。W杯史上初のOFRを通じたPK判定として記録されました。

Jリーグで話題となったOFR判定

JリーグでもOFRの導入以降、数々の議論を呼ぶ判定が行われています。特に2022年の川崎フロンターレ対鹿島アントラーズ戦では、ハンドの有無に関してVARが主審にレビューを提案。モニターでの確認後、PKなしの判定に変更され、現地の観客からは拍手とブーイングが混在する事態となりました。

物議を醸したOFRの判定ミス

一方で、OFRを行ったにもかかわらず「なぜその判定?」と議論を呼ぶケースも。たとえば、2020年の欧州CLにおいては、明らかなファウルと見られる接触プレーが見逃されたとして、OFRの精度に疑問が投げかけられたこともあります。これは、最終判断が主審の主観であるという制度の宿命とも言えます。

OFRに対する選手・監督・ファンの反応

オンフィールドレビュー(OFR)の登場は、サッカーのプレイヤーや指導者、さらには観客にまで影響を及ぼしています。ここでは、それぞれの立場から見たOFRへの評価や、どのような反応があるのかを掘り下げます。

選手視点から見たOFRの印象

選手にとってOFRの存在は、時に救いであり、時に脅威でもあります。例えば「微妙な判定で不利を被った」と感じた場合、OFRがあれば状況の打開が期待できるため、多くの選手は肯定的な意見を持っています。ただし、その一方で「ゲームのリズムが乱れる」「判定が覆ると集中が切れる」などのデメリットも感じられています。

監督・コーチの戦術的影響

監督にとっては、OFRが試合の流れに大きな影響を与えるため、戦術の見直しや交代のタイミングにまで気を配る必要があります。特にPKやレッドカードといった判定変更が行われた場合、フォーメーションの変更や守備・攻撃のバランス調整など、リアルタイムでの戦術修正が求められる場面も増えました。

スタジアム観戦者・視聴者の反応

ファンにとってOFRは賛否両論です。「正確な判定が見られて安心できる」と好意的に捉える声もある一方で、「時間がかかってテンポが悪い」「何を確認しているのかが分からない」といった批判も見られます。最近ではJリーグや欧州リーグで、OFR中にスタジアムビジョンで該当プレーを流すなど、観客への情報共有が進んでおり、改善が期待されています。

OFRとVARの今後の進化と課題

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OFRとVARの制度は導入から年月を重ね、さらなる進化と課題の発見が続いています。技術の進歩とともに、どのような方向にこの制度が発展していくのか、未来を展望します。

最新テクノロジーとの統合予測

OFRは今後、AI判定補助や自動ライン判定技術といった、さらに高精度なテクノロジーとの連携が進むと予想されています。実際、FIFAは2022年カタールW杯において、オフサイド自動検出システムをVARに導入し始めており、OFRの映像精度やレビュー時間の短縮が期待されています。

OFRに関するルール整備の動向

OFRに関しては、試合中にどの程度の時間をレビューに割くか、またその説明責任をどう果たすかなど、ルール整備が進んでいます。今後は「審判の映像レビュー後に公式な説明が出る制度」や「観客に向けての詳細アナウンス」などの導入も検討されています。

誤審防止における改善の可能性

VARとOFRの連携により、過去に比べて明らかな誤審は減少していますが、それでも「主審の主観が強く出る」という課題は残ります。そのため、判定のガイドライン明文化や、審判への再教育の強化といったソフト面の改善も不可欠です。これにより、OFRの信頼性と一貫性が向上していくことが期待されます。

OFRに関するよくある疑問とその回答

最後に、オンフィールドレビュー(OFR)に関して多くの人が疑問に思うポイントをQ&A形式で整理します。観戦初心者から経験者まで、知っておくと役立つ知識をまとめました。

OFR中に他の審判は何をしている?

OFRが行われている間、副審や第4の審判、さらにはVARチームは通常業務を継続しています。主審が映像確認中でも、他の審判が選手の整列を促したり、監督の抗議対応を行うなど、連携して試合の秩序を保っています。

OFRがない場合の試合への影響

OFRがなければ、明らかな誤審がそのまま試合結果に直結するリスクが高まります。特にワールドカップや決勝戦など、一発勝負の試合では誤審が致命的になることもあります。OFRは、こうした「取り返しのつかない誤審」を減らすための重要な制度です。

今後OFRが廃止される可能性は?

現時点でOFRが廃止される見通しはほとんどありません。むしろ、より迅速で公平な試合運営を実現する手段として強化されていく傾向にあります。テクノロジーの進歩に伴い、OFRの使い方が変化することはあるでしょうが、その存在自体が消えることは考えにくいでしょう。

まとめ

オンフィールドレビュー(OFR)は、サッカーにおける判定の公平性と透明性を高めるために導入された重要な制度です。特にVARとの連携により、主審は重大な判定の際にピッチサイドモニターで自ら映像を確認し、最終的な決断を下す権限を保持しています。

本記事では、OFRの定義や導入の背景、具体的な使用例、審判・選手・ファンの視点など、OFRに関する多角的な情報を提供しました。特にVARとの違いを明確に理解することで、今後の試合観戦や戦術理解にも役立つはずです。

今後のサッカーにおいて、より正確で納得感のある判定を実現するためにも、OFRの存在はますます重要になるでしょう。本記事が、皆さんのサッカー理解をより深める一助となれば幸いです。