サッカーのルールにはさまざまな「反則」が存在しますが、中でも理解しておきたいのが「間接フリーキック」です。
直接ゴールが認められないこの特殊な再開方法は、試合の流れを左右する重要な要素。特に、ゴールキーパーの反則やオフサイドなど、比較的軽微なプレーに対して適用されることが多く、審判の合図やペナルティエリア内での処理には独自のルールが定められています。
この記事では、間接フリーキックの仕組み・代表例・エリア内の例外処理までを丁寧に解説!ルールブックでは曖昧に感じる点も、実例とともにわかりやすく紹介します。サッカー観戦や指導にも役立つ知識が満載です。
間接フリーキックとは?
サッカーにおいて頻繁に耳にする「間接フリーキック」という言葉。しかし、その意味や適用される具体的なケースを正確に把握している人は案外少ないかもしれません。
「間接フリーキックとなる反則」は、直接得点ができないため目立ちにくいものの、実際の試合展開に与える影響は決して小さくありません。このセクションでは、まずこのルールの基本と成り立ち、そして具体的にどんな場面で間接FKが与えられるのかを、サッカー初心者でも理解しやすいよう丁寧に解説していきます。
間接フリーキックの基本ルール
「間接フリーキック」とは、ゴールに直接シュートを打っても得点にならないリスタート方法です。つまり、別のプレイヤーに一度ボールが触れなければゴールは無効になります。これにより、軽微な反則やプレー妨害への対応として、試合の流れを止めすぎないよう配慮された措置となっているのです。
間接FKの基本ルールは次の通りです:
- キック時、ボールは完全に静止していなければならない
- 相手選手はボールから9.15m(10ヤード)以上離れる必要がある
- ボールは他の選手に触れるまで得点と認められない
このように、間接FKには繊細なテクニックと連携が求められます。
直接との違い(シュートの可否)
直接フリーキックとの最大の違いは、「シュートが直接ゴールに入った場合の判定」にあります。直接FKでは、ボールがそのままゴールネットを揺らせば得点が認められますが、間接フリーキックでは無効です。審判はキック直前にその種別を明示し、選手はそれに応じた戦術を取る必要があります。
審判のシグナル
間接フリーキックの際、主審はキックが行われるまで腕を垂直に挙げたまま保持します。これは選手・観客・実況解説者に向けて「間接FK」であることを示すためです。ボールが他選手に触れた時点でそのサインを解除し、それまではキックの種類を明確に伝える重要な指標となります。
間接FKが発生する代表例
「間接フリーキックとなる反則」は多岐に渡ります。以下の表に代表例を整理します:
反則内容 | 間接FKか? | 説明 |
---|---|---|
オフサイド | ◯ | 位置的反則、相手に触れていないため軽微 |
GKの6秒超保持 | ◯ | 遅延行為としてペナルティに |
再タッチ(キック後の2度触り) | ◯ | プレーの独占とみなされる |
バックパスへの手使用 | ◯ | GKの特別反則として有名 |
ペナルティエリア内での取り扱い
守備側のペナルティエリア内で「間接フリーキックとなる反則」が起きた場合、リスタートは反則地点または、ゴールエリア内の場合は最近接のゴールエリアライン上で行われます。これは安全性と戦術バランスを保つための特例措置です。特に、バックパスや6秒保持違反が起きる場面で適用されます。
ゴールキーパー(GK)の反則
間接フリーキックの多くはゴールキーパーによってもたらされます。GKは通常プレイヤーとは異なり、手を使える特別な存在であるため、彼らの行動には独自の制限があります。このセクションでは、GKに特有の間接フリーキックの対象となる反則について、具体的に深掘りしていきます。
バックパスへの手の使用
DFから意図的に足で戻されたボールをGKが手でキャッチするのは反則です。これが起こると、その地点で相手に間接FKが与えられます。戦術的に大きなミスであり、GK・DF間の連携不足が露呈する場面でもあります。
※胸・頭・膝からのバックパスは合法
6秒ルール違反
ボールを手で保持してから6秒以上離さない場合、「攻撃の遅延行為」と見なされ反則になります。これは試合テンポを守るためのルールであり、主にリードしている側の時間稼ぎに対抗する目的で設けられています。
再保持ペナルティ(セカンドタッチ)
GKが手で持ったボールを一度離し、他選手に触れずに再び手で扱うと、これも間接FKの対象です。これをセカンドタッチと言い、試合再開を意図的に遅らせる行為としてペナルティを受けます。
味方選手が触れていれば合法となるため、GKの意図的な遅延なのか、操作ミスなのかで判断が分かれる微妙なルールでもあります。
オフサイド
サッカーの中でも最も知られているルールの一つが「オフサイド」です。オフサイドが発生した場合、その再開は「間接フリーキック」として行われるのが基本です。このセクションでは、オフサイドの判定基準、間接FKとしての扱い、そして審判の判断ポイントまで詳しく説明します。
オフサイドの定義と判定
攻撃側選手がボールが出された瞬間に「相手チームの最終ディフェンダーより前に位置し、かつプレーに関与した」ときにオフサイドとされます。プレーに関与とは、以下のいずれかに該当する場合です:
- ボールをプレーする
- 相手選手の視野や動きに干渉する
- リバウンドやセカンドボールを拾おうとする
間接FKとしての対応理由
オフサイドは、接触がない位置的ルール違反のため、罰則は軽めで、間接フリーキックによって再開されます。試合においては頻発するルールであり、スムーズな試合進行の観点からも直接FKやPKとしない運用がなされています。
審判のオフサイド合図
副審は旗を掲げて静止し、主審に対してオフサイドの意思を示します。その後、主審が笛を吹き、反則を正式に認定。再開はオフサイドポジションに最も近い地点からの間接FKで行われます。
VARによってリプレイ確認されることもあります。
危険なプレー
サッカーでは激しいプレーが多い一方で、選手の安全を守るために「危険なプレー」が反則とされる場合があります。このような反則の多くは「間接フリーキックとなる反則」として扱われ、接触がなくても罰せられるケースがあります。このセクションでは、判定基準・実例・審判の判断の傾向について、実践的に理解できるよう構成しました。
ハイキック(足を高く上げる)の判定
典型的な「危険なプレー」の一つがハイキックです。ボールを奪おうと足を高く上げた結果、相手選手の顔や頭部付近に近づくことで危険と判断されます。仮に接触がなくとも、相手選手が驚いてプレーを中断した時点で「危険行為」とみなされます。
このような行為には、プレーヤーの故意性や試合状況も加味されるため、状況判断が非常に重要です。
危険回避の考え方
サッカーのルールでは「実際の接触」よりも「相手のプレー機会を危険にさらしたか」に重きを置いています。したがって、相手が身を引いたり、驚いて避けた場合も、主審は安全上の観点から間接フリーキックを選択する傾向にあります。
- 足を胸より上に上げてのボール争い
- 背後からスライディングを試みる
- 倒れながらの頭付近へのクリアプレー
実際の判定例・映像
近年ではVARの導入により、こうしたプレーがより厳密に審査されるようになりました。以下は実際に「危険なプレー」と判断された映像例の解説です。
MFがジャンプしてバイシクルキック → DFが頭でクリアしようとする → 接触なしでも「危険なプレー」で間接FK
その他の軽微な反則
選手同士の接触や危険性が高くない行為であっても、サッカーのルールでは「技術的反則」や「マナー違反」として間接フリーキックの対象になる場合があります。これらは軽視されがちですが、試合の流れを左右する要素となるため、選手はもちろん、観戦者や指導者も理解しておくべき内容です。
連続タッチ(再タッチ)
キックイン、スローイン、フリーキックなどで、同じ選手が他の選手に触れさせずにボールを再度触れることはルール違反です。これを「再タッチ」と呼び、再開時の独占的プレーと判断され、相手に間接フリーキックが与えられます。
言葉による反則(侮辱・異議)
試合中に審判への不服表明や相手選手への暴言を吐くことも反則です。カードが出る場合もありますが、プレーの再開は基本的に間接FKで行われます。
進路妨害(オブストラクション)
ボールに関与せず、相手の進路を意図的に妨げた場合も「オブストラクション」として反則になります。体の使い方やポジショニングの中で微妙な駆け引きが発生しますが、明らかにプレーの妨害目的とされれば、間接FKが適用されます。
- ボールを追う相手の走路を妨害
- ボールをプレーしない位置でブロック
- GKへの不用意な接近と干渉
ゴールエリア/ペナルティエリア内での実施方法
最後に、間接フリーキックが実施される「場所」に関するルールを明確にしておきましょう。特にゴール前では、位置によって試合の明暗を分ける要素が多く、キッカー・GK・DF全員がそれぞれのルール理解を共有しておく必要があります。
ゴールエリア内での特例処理
反則がゴールエリア内で起きた場合、原則としてそのゴールエリア内で再開されることはなく、ゴールエリアライン上の最も近い地点からの間接フリーキックとなります。これは極端な至近距離からのキックによる事故防止を意図した特例です。
反則地点からの再開ルール
ペナルティエリア内であっても、ゴールエリア外での反則であれば、その地点から間接フリーキックを再開します。リスタートは、ボールが静止し、相手選手が9.15m離れている必要があります。
守備側の「壁」距離ルール(9.15m)
間接フリーキックにおいても、壁を形成する守備選手はキック地点から9.15m以上離れる必要があります。特にゴール前の狭いエリアでは、選手間の距離を正確に取ることが重要です。
実施地点 | 壁の距離 | 備考 |
---|---|---|
ゴールエリア内 | 外のライン上 | 至近距離を避けて処理 |
ペナルティエリア内 | 9.15m | 通常の間接FK扱い |
以上が、間接フリーキックが与えられる条件やその場面におけるプレー方法のすべてです。サッカー観戦やプレーの理解を深める上で、こうした細かいルールへの知識は極めて有益です。ぜひ今後の試合で、これらのルールが適用される瞬間に注目してみてください。
まとめ
間接フリーキックは、ゴールキーパーの軽微なミスやオフサイド、危険なプレーなどに対して主に適用される反則の再開方法です。
直接ゴールが狙えないため、状況によってはチーム戦術の工夫が求められる局面ともいえます。また、審判のジェスチャーや再開位置の正確さなど、選手や指導者が理解しておくべきポイントも多く含まれます。
ゴールエリア内での処理方法や守備側の距離ルールなど、細かなルールを把握することで、ゲームの理解が深まり、フェアで的確なプレー判断にもつながります。本記事を通じて、観戦者からプレイヤーまで、間接フリーキックに関する正しい知識と実践的な理解を深めていただければ幸いです。